食生活の欧米化や遺伝などの原因で患者が増えている、糖尿病。
糖尿病という病気は一度なってしまうと、ずっと治療を続けなければなりません。
大人になってからなる糖尿病のほとんどが二型糖尿病で、全身に症状が出やすいのが特徴です。
その中でも注意したい症状が足に出る合併症で、放っておくと足を切断しなければならなくなるほど怖いんですね。
しかし糖尿病では、どうして足に症状が出やすいのでしょうか。
また日常生活の中で気をつけなければならないポイントは、どのような点なのかも気になりますよね。
そこで今回は糖尿病の症状の中でも特に要注意な、足の合併症について詳しくご紹介します。
糖尿病で足に症状が出やすい理由
糖尿病にかかると足が痺れたり痛みが出たり、さまざまな症状が出てきます。
普段何でもないような症状が、実は糖尿病の前触れでどんどん足がダメージを受ける危険性もあるのです。
ではまず糖尿病で足の症状が起こりやすい理由について、説明していきます。
高血糖による血流障害のため
糖尿病は血糖値が高い状態になりますが、常に高血糖の状態になると血管が硬くなってしまうのです。
血管が硬くなると血液の流れが悪くなり、足が冷えやすくなったり痺れなどが起こったりします。
冷えや痺れなどの症状が出ても、特に痛みがなければ放っておいてしまいがちです。
しかしこの糖尿病の初期症状を放置すると、足の先に血液が完全にいかなくなって壊疽になってしまうことがあります。
足は心臓から一番遠い位置にあるため、血流が悪くなると最初に影響が出やすいのです。
高血糖で受ける血管のダメージは、かなり大きいということですね。
高血糖による神経障害のため
糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、足の末梢神経がダメージを受けてしまいます。
この影響で足の痺れが起こったり、怪我をしても痛みに鈍くなってそのままにしてしまったりするのです。
初期には足のひび割れやウオノメなどごく一般的にありふれた症状が起こるので、つい放置してしまいがちになります。
また間接的ではありますが糖尿病は視力低下も招くので、足の見た目でわかる症状が出ても気づきにくいという特徴があるんですね。
多いのはウオノメやひび割れといった症状を、自分で削って間違った対処をしてしまうことです。
下手に削ってしまうとそこから細菌感染を引き起こして、神経が余計にダメージを受けてしまうことがあります。
神経障害の症状が足に出てきたら、まずは病院で医師に相談をしましょう。
高血糖により抵抗力が低下する
糖尿病になると水虫が増えるといわれますが、その理由は高血糖による抵抗力の低下です。
高血糖の状態が長く続くと、健康な人に比べて体にウイルスや細菌が入った時に活躍する白血球の働きが悪くなります。
白血球の働きが悪くなってしまうと一度ウイルスや細菌感染などを起こすとなかなか治らなくなり、症状も重くなりやすいのです。
抵抗力が弱くなると普段はかからないような細菌にも感染して症状が出てしまい、水虫なども広がりやすくなります。
爪が変色して脆くなる爪水虫も増加する傾向にあるので、注意しなければなりません。
しかし糖尿病が悪化すると神経障害によって、足の感覚が鈍くなります。
そのため足の異変に気づくことができず、細菌感染が悪化して壊疽が進んでいくのです。
糖尿病の症状は足の管理に気をつける
糖尿病の中でも足は、特にダメージを受けやすく症状が出やすい箇所でもあります。
そのため糖尿病患者は、普段から足の管理には十分気をつける必要があるのです。
では具体的にどのような点に気をつけて生活すれば良いのか、4つの意識したいことを見ていきましょう。
爪切りをこまめにおこなう
爪が伸びてしまうと、足を知らない間に傷つけやすくなって細菌感染の原因となります。
だからといって爪を切りすぎても、今度は深爪になったところから細菌感染することもあるのです。
そのため爪の切り方にも、十分注意する必要があるんですね。
通常は爪のカーブに沿って、爪の白い部分が見えなくなるまで切ってしまうことが多いです。
しかし糖尿病の場合は深爪厳禁なので、爪はカーブに沿わせず真っ直ぐに切ります。
角の部分は少しだけ爪切りで切って、丸みをつけると良いでしょう。
爪を切りすぎないように明るい場所で切り、もし巻き爪などの症状が気になったら医師に相談してくださいね。
靴のサイズやヒールに注意
靴のサイズが合わないと糖尿病患者の場合は足が変形したり、血行不良が悪化して壊疽を起こしやすくなります。
足の血行が堰き止められてしまうヒールの高い靴や、サイズの合わない靴は履かないようにしましょう。
靴を選ぶときのポイントとしては、足が最もむくみやすい夕方に試着して購入するのがおすすめです。
またかかとなどのダメージをなるべく減らすために、靴底にクッションを敷くのも良いですね。
また素足で履くサンダルなどの着用は避けて、必ず靴下を履いてから着るようにします。
家に帰ってきて靴を脱いだら、まずは足に異常な箇所はないかチェックしてから足を洗って清潔にしましょう。
乾燥してひび割れを起こさないようにクリームを塗り、靴下を履いて過ごします。
この一手間で、ずいぶん糖尿病で症状が出やすい足をケアすることができるのです。
糖尿病の初期症状を抑えるためにも、足に気を配ることが大切なんですね。
無理をせず適度に運動する
足を痛めるくらいの運動はできませんが、ゆっくり歩いたり曲げ伸ばしをしたりして適度に動かしましょう。
糖尿病と聞くと運動なんかして大丈夫なの?と思われがちですが、血糖値のコントロールができていれば激しい運動でなければ大丈夫なんです。
足を適度に動かすことで血行が良くなり、足の先まで血液がいきやすくなります。
高血糖で血管がボロボロになっている中で血行不良を起こすと、あっという間に症状が悪化してしまうんですね。
運動は足の筋肉を鍛える意味でも、末梢神経がダメージを受けて筋力が低下している糖尿病患者には有効です。
心肺機能も衰えやすいので、運動をしながら深い呼吸をすることで心肺機能も維持していきます。
また運動をした後は、自分で足の状態をチェックするか家族に見てもらうようにしましょう。
足の症状の変化にいち早く気づくことが、糖尿病の悪化を防ぐポイントとなります。
足に怪我をしないようにする
抵抗力が下がっている糖尿病患者にとって、足の怪我はほんの少しの症状でも危険です。
ひび割れやウオノメなど小さな傷口からウイルスな細菌感染などを引き起こすので、そこから足が壊疽をする可能性もあります。
さらに足を怪我しても神経障害のため痛みを感じにくいので、ひび割れなどはなおさら気づきにくいのです。
部屋をこまめに片付けて、細かいものを足で踏まないように気をつけることも大切ですね。
またこたつなどの暖房器具を使うときには、素足のままだと火傷を負うおそれがあります。
足が冷えていても必ず靴下を履いて、直接温めることはしないでください。
同じように入浴の際も、お風呂のお湯が暑過ぎないか確認してから湯船に浸かるようにしましょう。
日常で気をつけることがかなり増えてしまいますが、ほんの少しの足の怪我が糖尿病では重大な症状につながるということを覚えておきたいですね。
まとめ
糖尿病の症状の中でも特に要注意な、足の合併症について詳しくご紹介してきました。
糖尿病になると足の血流障害、神経障害、抵抗力の低下といった症状を引き起こします。
足は心臓から一番遠い位置にあるため糖尿病による血管病の影響を受けやすく、合併症が起こりやすいんですね。
また、糖尿病が進行すると動脈硬化を引き起こすため、糖尿病を予防することで同時に様々な病気を予防することも出来るのです。
日常生活の中で程度に動かしたり怪我をしないように注意したり、できることはたくさんあります。
初期の糖尿病は自覚症状があまりないため、定期的な検査や診断を受けるのも良いかもしれません。
足の症状が悪化すると最悪切断をしなければならないので、糖尿病の場合は日頃のセルフチェックと検診を欠かさないようにしましょう。