「変形性足関節症」という足の病気をご存知でしょうか?
骨と骨は関節で結ばれており、その「つなぎ」として軟骨で包まれて骨同士がぶつからないようにしています。
しかし骨折や骨のつなぎ目の炎症などが原因で、つなぎの役割を果たす軟骨がだんだんすり減ってしまうことがあるのです。
特に足首は体の重さを支えるため、他の部位よりも負担がかかりやすいのが特徴ですよね。
関節を包む軟骨がすり減って、さらに体重を支えるために負荷がかかるので激しい痛みに襲われます。
これが変形性足関節症の症状なのですが、具体的にどのような状態で診断されるのでしょうか。
また効果的な治療の方法はあるのか、気になってしまいます。
そこで今回は変形性足関節症の診断基準や効果的な治療の方法について、詳しくご紹介します。
変形性足関節症はどのように診断される?
変形性足関節症かな?と思って病院に行った時、どのような症状から診断されるのでしょうか。
だいたいの状態を把握しておくことで、セルフチェックをすることもできます。
では診断項目を4つみていきましょう。
普段から足関節に痛みがある
何もしていなくてもつなぎ目に痛みがあって、特に歩く時に痛みがひどくなるのが診断基準です。
普段の生活の中で痛さを感じることはないか、またどんな時に激痛がひどくなるのかをあらかじめメモしておくと良いですね。
その時に痛さのレベルを5段階で示す、そのあとどのくらいで激痛が引いたのかなどを書き出すとより診断しやすくなります。
普段からつなぎ目に痛みがある人は、見た目が腫れていないかなどさまざまな角度からチェックしていきましょう。
足関節の見た目に異常をきたす
痛みと同時に症状が出る場合が多いのですが、腫れていたり曲がっていたり見た目に異常が出る場合があります。
外反といって外側に反っていたり、内反といって内側に反っていたりすることもあるのです。
明らかに腫れている場合は自分自身でも確認しやすいのですが、曲がっていたり反っていたりした場合にはよくわからないこともあります。
そのためできるだけ痛みが出た時に、病院に行って検査を受けた方が良さそうですね。
足関節がガクガクと不安定
曲げたりひねったりしても滑らかに動くのが通常ですが、なんだかガクガクとして不安定だと感じる場合も診断基準となります。
つなぎ目を包んでいる軟骨が減ることで、滑らかに動かすことができなくなっていると考えられるのです。
一度減ってしまった軟骨が、再び元に戻ることはないので注意が必要なんですね。
動かした時にカクカク音がする、痛みがあるなどの自覚症状があったら早めに病院で診察を受けた方が良いでしょう。
今は痛みが無いからと放置していると、痛みが強くなってきて悪化する可能性があります。
足関節の隙間に余裕がない
病院でレントゲンを撮ってみると、つなぎ目部分に本来ならある隙間が狭くなって余裕がなくなっているのがわかります。
隙間に余裕がなくなると滑らかに動かすことができなくなり、動かした時に痛みを感じやすくなるのです。
この隙間に関しては病院でレントゲン撮影をおこなわないとわからないので、違和感があった場合はすぐに検査をしてもらいましょう。
変形性足関節症の保存的治療法について
変形性足関節症の症状が軽く、激痛や変形がそこまでない場合にはオペしなくても大丈夫なケースがあります。
この場合には負担がかかる比重を分散したり、痛さへの症状に対する対症療法をおこなうのが一般的です。
こうした治療法のことを「保存的治療法」といいます。
具体的にどのようなことをするのか、主に2種類みていきましょう。
靴底を敷いて荷重を分散する
歩いている時に荷重が内側に集中すると、痛さを感じやすくなります。
この時に靴底を敷いてカカトの外側を少し高くしてあげると、内側に集中していた負担を分散することができるのです。
靴底を敷くだけなので体への負担も特になく、治療法としては優しいものだといえます。
ただ比較的軽い症状でないと、適用にならないので注意しましょう。
またすでに起こってしまった痛さを軽減する方法ではないので、痛み止めなどの対症療法と組み合わせて活用することが多いです。
もし痛さの度合いが増すなど日常生活に支障が出てきたら、手術治療法に切り替えることも考えた方が良いでしょう。
痛み止めの注射などを打つ
曲がりや反りはそこまででなくても、痛みがあって日常生活に支障をきたすときには対症療法をおこないます。
痛いなどの症状があるときには痛み止めの注射を打ったり、腫れがあるときには炎症を抑えるステロイドなどを飲んだりすることもあります。
対症療法は根本的に治療する方法ではないので、多くの場合が靴底と併用しておこなわれることが多いです。
漫然と対症療法を続けていても、良くなることは少ない傾向にあります。
その場合は手術治療法に切り替えて、痛みなどの症状を無くす方向に進める場合が多いでしょう。
変形性足関節症の手術治療法について
変形性足関節症の症状が重かったり、痛みがひどくて日常生活を送れなかったりした場合にはオペが適用になります。
やり方は1種類だけではなくて、患者の毎日の動かし方や年齢などを考慮しながら決められるのが特徴です。
手術治療法には主に3種類の方法があるので、どんなものなのか順番にみていきましょう。
軽度の場合は下位脛骨骨切り術
比較的変形の症状がひどくない場合には、下位脛骨骨切り術という手術をおこないます。
脛骨とはスネの骨のことで、手術で曲がったり傾いたりしたつなぎ目を矯正するのです。
足首からスネまでをハシゴのように補強して、変形を矯正する方法となっています。
進行していたら足関節固定術
その名前の通りつなぎ目を固定するオペで、割と症状が進行している場合におこなわれます。
数箇所を小さな器具で固定しているだけなので、オペした後も動かせる範囲が広いのが特徴です。
そのため農作業をしたり運動をしたりする人に適していて、オペ後も日常生活に支障はありません。
進行後は人工足関節全置換術
こちらも進行していた場合に適用になるオペで、つなぎ目を丸ごと器具に置き換えてしまいます。
丸ごと置き換えているためオペ後に動かせる範囲が広く、リハビリがしやすいのが特徴です。
レントゲンで見てみると、つなぎ目部分の箇所が全て器具に置き換わっていることが確認できます。
まとめ
変形性足関節症の診断基準や効果的な治療の方法について、詳しくご紹介してきました。
変形性足関節症という病気はあまり知られていませんが、原因がなく発症することも珍しくありません。
関節は軟骨で覆われていて骨同士をつないでいますが、この軟骨が磨り減ることで痛さや腫れ、変形などの症状が起こります。
治療は対症療法やオペがあり、靴底を敷いて荷重のバランスを取る方法や痛み止めなどを投与する方法があります。
手術は軽度の場合は足首からスネにかけて傾きを矯正したり、進行していた場合は骨のつなぎ目を丸ごと置き換えたり小さな器具で留めていくのが一般的です。
まずは腫れなどの違和感が出たときに早めに病院に行くことが大切で、レントゲン撮影などを通して診断してもらいましょう。
変形性足関節症は症状の進行具合によって治療方法も変わってくるので、早めに病院を受診するようにした方が良いでしょう。
またオペが必要になった場合でも、生活スタイルや年齢などを考慮して最適な方法がおこなわれるように医師とよく相談をしてくださいね。