主にふくらはぎにできる、血管の中に血液がたまってコブができてしまう下肢静脈瘤。
下半身に血液がたまらないようにする方法として、弾性ストッキングを履く対処法があります。
下半身に適度な圧迫をかけることで血液の流れをスムーズにし、逆流を防ぐことができるのです。
しかし具体的にはどのような種類があるのか、またそれぞれどんな特徴があるのかイメージしにくいと思います。
そこで今回は下肢静脈瘤での弾性ストッキングの種類や履き方、そして選び方について詳しくご紹介していきます。
下肢静脈瘤に使う弾性ストッキングの種類
下半身に瘤ができてしまったときに、足を締め付けて血液を偏らせないためにはどのような種類の医療用着圧ソックスを履けば良いのでしょうか。
種類によって履き心地や、期待できる効果に違いがあります。
それぞれの特徴やメリット、デメリットなどについて見ていきましょう。
膝下まで覆うハイソックス
主にふくらはぎだけに瘤ができていたり、むくみの状態が軽症であれば膝下までの長さがあるハイソックスタイプが適しています。
ハイソックスタイプのメリットは何より履きやすいところと不快感が少ないところで、価格も安いのが特徴です。
ただデメリットとしては脚全体を締め付けることはできません。
むくみの範囲が広い人にとっては、あまり向かないと言えるでしょう。
足の付け根までのストッキング
足の付け根までの長さがあるストッキングタイプは、脚全体を圧迫できることと履きやすいという点です。
ふとももよりも上の暑苦しさがなく、圧迫もされないので着け心地が良いのが特徴でしょう。
ただふとももの部分で長さが終わっているので、動いているうちにずり落ちてきてしまう傾向にあります。
片脚用のベルト付ストッキング
片脚に瘤ができている人のための、ベルト式ストッキングです。
ベルトで固定されるのでずり落ちる心配がなく、履きやすくなっています。
瘤ができていない方の足は開放感があるので蒸れにくいですが、多少食い込みやすいのが難点です。
全体を覆うパンストタイプ
腰回りまで全て覆うパンストタイプはファッション面でも見た目が良く、違和感がありません。
ずれ落ちや食い込みが少ないのですが、履きにくくて蒸れやすいのが難点でしょう。
またそのせいでトイレにもいきづらく、さらに値段も高い傾向にあります。
片脚のみの瘤や左右で大きさの違う瘤がある場合は、あまり向いていないのが特徴です。
片脚用ベルト付パンストタイプ
片脚のみすっぽり覆うような形のベルト付パンストタイプは、ファッション性には劣るので見た目が良くありません。
通気性や食い込みなどの問題はクリアしているものの、アキレス腱あたりを締め付けられる窮屈さがあります。
ベルトで固定されているので、ずれ落ちる心配はないでしょう。
足先が出るつま先がないもの
着圧ソックスでは足先が露出しているつま先がないタイプもあり、つま先ありのタイプと人気を二分しています。
つま先がないタイプは足の締め付けを調節できるので、履いていて快適だと感じる割合が多いのが特徴です。
また夏場でも蒸れにくく、つま先が出ているため足の先の様子を見ることができます。
つま先があるタイプに比べて履きやすいのも特徴で、フットクリップを使うとより履きやすくなります。
ただ見た目の面であまり格好の良いものではない、また裸足が不快な感じがするなどのデメリットもあるのです。
つま先までむくみの症状がある人も適していないので、医師と相談しながら自分にとって最適な形のものを使いたいですね。
瘤ができている場所や症状の程度など、さまざまな面を考慮しながら患者にあったものを選んでいくのです。
医療用の着圧ソックスについて分からないことがあったら、かかりつけ医に問い合わせながら選びましょう。
下肢静脈瘤で弾性ストッキングを履く方法
下肢静脈瘤と診断されて足を圧迫して悪化を防ぐには、医師と相談して医療用の着圧ソックスを履く方法があります。
比較的軽症の人の場合は圧迫圧20mmHg未満の弱い圧力がかかったものを着用し、様子を見ることになるのです。
通常の瘤ができている多くの人の場合は、20〜30mmHgを目安として選びます。
弱い力で締め付けるので、下半身の怠さが取れたりむくみが予防できるといった人が多いようです。
瘤の状態が悪化して皮膚に変化が起きている場合には、さらに圧迫圧を強めた30〜40mmHgのものを使います。
皮膚の変化がさらに悪化した後、潰瘍ができるなど手術などの治療が必要なくらいひどい状態になると40〜50mmHgと強めのものに替えていきます。
50mmHg以上の強力なものは、通常ひどいリンパのむくみでしか使わないので適用外です。
履き方はソックスのつま先部分をひっくり返した部分につま先を当てて、ゆっくり伸ばしながら履きます。
最初は窮屈で非常に履きにくいですが、慣れてくると手早く身に付けることができます。
下肢静脈瘤のためのストッキングの選び方
病院で医療用のものを使わなくても、軽症なら市販の弱い圧迫圧のものを購入するのも良いでしょう。
ただどのような選び方で身につければ良いのか、迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
そこで、失敗しない市販品の選び方について説明していきます。
自分に合ったサイズを選ぶ
圧迫圧が合っていても、自分の脚にフィットしていないと意味がありません。
まずは自分の脚に合ったサイズを探して、フィットした状態で圧迫圧を合わせていきましょう。
市販品はSMLのサイズ表記が多いので、普段の服のサイズを基準に選ぶと良いですね。
市販品はまず試着不可の場合が多いので、他の口コミなどを参考に選ぶのもおすすめです。
圧迫の強さは最初は弱から
いきなり圧迫の強さを高いものから使ってしまうと、痛みや不快感の原因になります。
むくみや瘤の悪化を防ぐために使用しているのに、逆効果にもなりかねません。
そのため必ず最初は一番弱い圧迫圧のものから使って、様子を見ながら必要であれば強いものを購入しましょう。
少しでもむくみなどが抑えられていると感じたら、しばらくは様子を見ると良いですね。
半年を目安に新しく替える
普通のソックスも履いているうちに伸びてくるように、弾力ストッキングもだんだんと圧迫する力が衰えてきます。
目安としては半年ほど使ったら、新しいものに変えていくと効果が薄れずに済むでしょう。
最近締め付ける力が弱くなったという場合は、ソックスの寿命が近くなっている可能性もあるのです。
長く使っている場合は、すでに着圧ソックスとしての役割を終えていることもあるので注意しましょう。
まとめ
下肢静脈瘤での弾性ストッキングの種類や履き方、そして選び方について詳しくご紹介してきました。
単に瘤の悪化を防ぐためのものとはいっても、実はさまざまな種類があることをご存知でしたか。
瘤ができている場所や大きさなどによって、その患者に最も適しているものを医師と相談して決めて医療用として使います。
市販品の選び方に関しては圧迫の弱いものから選ぶなどポイントがあり、守らないと逆効果になることもあります。
また半年サイクルで新しいものに交換して、いつも効果を最大限に発揮できるように意識してみるようにしましょう。
日常生活の中で比較的安全に瘤の悪化を予防できるので、むくみなどが気になる人は是非着用してみてはいかがでしょうか。