立ち仕事などで足に負担がかかるとできやすい病気が、下肢静脈瘤です。
命に関わるようなものではないものの、美容的な面で目立つ疾患のため早めの治療が推奨されています。
しかし見た目の問題以上にひどくなると、実は深刻な症状が出てしまうことがあるのです。
そこで今回は下肢静脈瘤の初期症状を3つと、ひどくなるとどうなるのかをご紹介していきます。
下肢静脈瘤の症状は軽症から重症まで3種類ある!
下肢静脈瘤とひとくちにいっても、実は軽症から重症まで症状はさまざまです。
妊娠中の女性に患者が多く見られ、割と軽症静脈瘤に当てはまるのが「クモの巣状」と「網目状」です。
血管が蜘蛛の巣や網目のように赤く広がっていることから名付けられ、症状は特になく瘤の程度は軽症となります。
一方で伏在型静脈瘤は重症となり大きく盛り上がった見た目になるのです。
伏在型になると不快感が出てくることが多く、痛みやむくみなどが気になります。
ちなみにくもの巣状が悪化して伏在型になることはないので、安心してくださいね。
進行することはないのですが、実は軽症と伏在型が同時に現れることがあります。
自分では判断がつかないので、病院でエコーによる検査をおこないましょう。
下肢静脈瘤の初期症状は主に3つある
下肢静脈瘤は程度が軽いと、なかなか自分では気づけないこともあります。
そこで3つの初期症状を把握しておくことで、普段からセルフチェックができるようになるのです。
軽症のうちに治療をすることで、美容面でも影響が出にくくなります。
また日常的に感じる不快感から解放されやすくなるので、初期の変化を見逃さないようにしましょう。
足が疲れやすく怠さを感じる
心臓から全身へと送られた血液は、今度はまた心臓へと帰っていきます。
この時に血液の流れを逆流させないようにしているのが、静脈弁といわれる箇所です。
弁が平常に機能しているからこそ、心臓よりも下の位置にある足から重力に逆らって血液を流すことができるのですね。
ちなみに、動脈にはこの弁はありません。
しかし負担が大きくなると弁が壊れてしまい、血管内に血液が溜まりやすくなります。
そうなると常に下半身がうっ血している状態になり、怠さや疲れやすさなどを感じることが増えるのです。
特に高齢者になるほど下半身の怠さや疲れ、痛みなどを感じることが多いので注意したいですね。
こむら返りを起こしやすい
血管内に瘤ができるということは、血行不良なのを意味しています。
血液循環がうまくいかなくなると、末梢神経が興奮状態になってしまうのです。
その結果筋肉をスムーズに動かせなくなり、収縮が過剰になります。
これが筋肉の痙攣であるこむら返りで、瘤ができることで起きやすくなるのです。
前に比べむくみやすくなった
下半身に血液がうっ滞している状態なので、血液とともに老廃物などを循環させることがスムーズにできなくなっています。
老廃物をうまく排出できなかった場合、皮膚の下に水分が滲出してきてしまってむくみとなります。
むくみは瘤ができると多くの患者が自覚症状として感じるので、いつもむくんでいると思ったら足の血管をチェックしてみましょう。
セルフチェックは指で足の甲をぐっと10秒間強く押して、指を離してから素早く戻らない場合はむくみの可能性大です。
下肢静脈瘤が悪化すると出る症状とは?
いくら命に関わる病気ではないとはいっても、やはり見た目には深刻な問題を引き起こします。
まだ軽いうちは良いものの、ひどくなると一目でわかるくらい皮膚の状態が変わってしまうのです。
大きな変化が出てしまうと、治療をしても治らない可能性が高くなります。
では具体的に下肢静脈瘤がひどくなると、どのようになってしまうのかを見ていきましょう。
肌が黒っぽい色に変化する
瘤ができていても長く放置していると、だんだん血液がうっ滞している箇所が茶褐色に変色してきます。
この状態を色素沈着を起こしているといわれ、皮膚の色を元に戻そうとしても何年もかかります。
重症になる前から、うっすらと色素沈着してきているのは自覚症状として感じる人は多いでしょう。
この時点で病院に行けば、綺麗に治る可能性は高くなります。
しかし重症になって色素沈着の様子も濃くなってきたのであれば、治るまで何年もの月日をかけなければなりません。
重症かどうかは病院でおこなうエコーの検査ですぐわかるので、検査で苦痛を感じることはまずないのですね。
色素沈着が起こる前に診察を受けられれば良いのですが、できればうっすらとした色素沈着を認めたらすぐに病院へ行くようにしましょう。
肌が硬くなってガサガサする
通常皮膚は柔らかく、硬さはあまり感じることがありません。
しかし瘤が悪化すると、肌が硬くなってしまってガサガサとした感じになるのです。
こうした状態を「皮膚硬結」と呼び、美容の観点から大きな問題を抱えてしまいます。
皮膚硬結を起こしている皮膚を見られたくないと思うと同時に、触られることも嫌になってしまうのです。
皮膚の硬化を和らげるためにもなるべくなら毎日湯船に浸かって、血行を促進したり保湿をしたりして皮膚のかさつきを改善していきましょう。
皮膚が崩れてきてえぐれる
皮膚組織が崩れてえぐれたり、剥がれ落ちてしまうのが「皮膚潰瘍」という状態です。
この状態になると驚いてしまうばかりか、気軽に外出もできなくなってしまいます。
目に見えて痛々しい状態なので、自らの姿をコンプレックスに感じることがあるのです。
皮膚潰瘍が起きるのはかなり重症化している証拠なので、驚かずにまずは病院に行きましょう。
下肢静脈瘤は基本的に一度できると、妊娠出産が原因でない限り自然に治ることはありません。
崩れた皮膚が元の状態に戻るためには、病院に行って診てもらう必要があります。
崩れた皮膚が治った後に日焼けをすることがあるので、紫外線には気をつけていきたいですね。
血栓性静脈炎を引き起こす
下肢静脈瘤はひどくなって血管が腫れていても、血管内に血液が溜まっているので特に問題はありません。
良く似た症状である血栓性静脈炎は、放っておいた瘤が硬くなって欠陥を塞ぐことで起こります。
ただ完全に血が固まっている血栓とは異なるので、命に関わることはないのが特徴です。
そのため治療が遅くなって炎症や痛みがひどくなることも考えられます。
今まで血管の病気をしてこなかった人も、早い時機に治療を開始すれば日常生活や見た目にも避けるかもしれません。
まとめ
下肢静脈瘤の初期症状を3つと、ひどくなるとどうなるのかをご紹介してきました。
若い世代では見た目の美しさが損なわれるため、早めに治療をおこなって不快感を受けないようにしているのです。
しかし高齢者は、見た目のために治療を始めたのではないと病院に行くことに抵抗ある人も多いんですね。
同じ病気ですが、若い世代と高齢者では認識に差があるようです。
ひどくなると皮膚そのものに変化が現れることがあり、治療しても治癒するまで非常に時間がかかります。
治療するには美容外科やクリニック等で最初に診療してもらい診断を受ける必要があります。
症状が悪くなるとレーザー療法を受けたり、ストリッピングというワイヤーで静脈を引き抜く手術を受けなければならなくなるかもしれません。
でも、色素沈着や皮膚潰瘍など美容面で激しく損なう部分があると、治ったとしてもモヤモヤが残りますよね。
命に関わるものではないですが、ぜひ美容の問題や症状を照らし合わせて早めに手術などをおこなえるように医師と相談してみてください。
症状によっては、手術をしなくても弾性ストッキング等で足を圧迫して血流を改善するという方法もあります。
予防にも効果的なので、試してみてはいかがでしょうか?