足の付け根やふくらはぎなどの血管がボコボコとして、見た目などの美容的観点としても影響することが多い下肢静脈瘤。

実は下肢静脈瘤はなりやすい人とそうでない人がいるのです。

そして、下肢静脈瘤になりやすい高リスク群の中のひとつに「年齢によるもの」があります。

高齢になると様々な病気にかかりやすくなりますが、下肢静脈瘤もその1つです。

また、意外と上半身ばかりに気を取られて、下半身のボコボコとした症状に気づいていない患者も多いのです。

そこで今回は下肢静脈瘤は何故年齢を重ねるほどできやすいのか、老化とともに悪化しやすくなる原因についてご紹介していきます。

下肢静脈瘤ができやすいタイプの人とは?

イエス・ノー

瘤は一度できてしまうと、自然には治らないのが厄介なところです。

そもそもできやすいタイプの人がいるのですが、こういった人は他の人に比べて瘤ができやすく悪化しやすい傾向にあります。

高リスクの人は日頃から下半身の状態などをチェックしておいて、悪化しないようにしたいですね。

では具体的にどんなタイプが高リスクなのか、詳しく見ていきましょう。

年齢を重ねている高齢の人

高齢

年齢を重ねた高齢者になればなるほど、血管に血液がたまってボコボコしてしまうリスクは高くなります。

静脈の中で心臓に戻る血液が逆流しないようにせき止めているのが弁の役割なのですが、加齢によって弁がもろくなってしまうのです。

高齢者は若い世代に比べてたくさん歩いているわけですが、そのたびに弁はストレスを受け続けています。

血管壁も劣化していく傾向にあるので、血管内に血液が溜まりやすくなってしまうのです。

瘤を取る手術をおこなう患者の割合を見ても、多くの病院で60歳以上の人が7割以上という結果が出ています。

妊娠や出産経験のある女性

妊婦

妊娠出産において女性のホルモンバランスは急激に変化しますが、黄体ホルモンの分泌が増える妊娠期に特にリスクが高くなります。

黄体ホルモンが血管を柔らかくするために、弁の作用が弱くなるのです。

また大きなお腹が原因で血液循環が悪くなり、瘤ができやすくなります。

ただ妊娠出産などでできた場合に限り、産後6ヶ月以内に自然と治っていく可能性があります

そのため積極的な治療はおこなわず、経過観察をすることが多いのです。

現代は高齢出産の人も増えているため、リスクがより増えると考えられます。

両親から体質が遺伝した人

意外ですが、瘤ができやすい人というのは遺伝が大きな影響を与えています。

両親ともに瘤ができやすい体質の場合は、なんと9割以上の子供に瘤ができやすくなるという統計もあるのです。

遺伝の場合は日頃から予防に努めていれば、症状がひどくなるのをふせぐことができます。

平均よりも体重が重たい人

肥満

平均よりも体重が重い肥満気味のタイプは、それだけ立った時にかかる負担も増えてきます。

下半身に負担がかかると血液が逆流しないための弁により多くのストレスを与えることになり、瘤ができやすくなるのです。

肥満の場合は皮下脂肪に覆われていることが多いため、症状に気づかないこともあります。

いつも立ち仕事をしてる人

立ち仕事

立ち仕事を続けていると足がむくみやすいという症状を訴えるケースは多いですが、下半身に負担がかかっている証拠です。

下半身への負担が大きいので弁が傷みやすく、瘤ができやすいんですね。

実は下半身を長い時間タテにして血液の流れを重力に逆らうような姿勢にしていた場合、座っていたとしてもリスクが高くなるのです。

下肢静脈瘤が年齢を重ねるとできやすい理由

理由

年齢を重ねるごとに下肢静脈瘤ができやすくなり、同時に悪化もしやすくなります。

若い世代の場合は瘤ができることにより、美容の面で見た目が悪くなることが重要でした。

しかし高齢になると美容面というよりは、どちらかというと下半身全体に血液が溜まる「うっ滞」に悩まされる人が多くなります。

疲労感やこむら返りなど日常に悪影響を与える症状が出てくるので、密かに悩む人もたくさんいるのです。

ではどうして高齢になると、血管内に瘤ができやすくなってしまうのでしょうか。

主に3つの理由について、詳しく見ていきましょう。

血管が徐々に衰えてくるため

血管の衰え

高齢になると血管のしなやかさがなくなり、どんどん硬くもろくなっていきます。

血管が衰えていくと、心臓から送り出される血液の循環がうまくいかなくなりやすいのです。

足という心臓よりも下にある位置から、重力に逆らって血液を心臓に戻しにくくなります。

結果的に血液が逆流して、瘤ができやすくなるのですね。

運動をする習慣がないため

ウォーキング

あまりに激しい運動は下半身に負担をかけ、高齢者の下肢静脈瘤を悪化させてしまいます。

しかしウォーキングなど穏やかで適度な運動に関しては、続けることで筋力を保つことができます。

足から心臓へ血液を送り出す力を維持できるので、逆流しにくくなるのです。

ただ高齢者は足腰が弱ったり痛み出したり、運動の習慣がなくなりやすいですよね。

運動不足で筋力が落ち、さらに血行も悪くなるので瘤ができやすくなります。

血液がドロドロになりやすい

血液がドロドロ

高齢になると若い人よりも「暑い、寒い」といった感覚を感じにくくなります。

そのため暑いのに水分補給をしないことが増えて、血液内の水分が不足してしまうのです。

結果的に血液がドロドロになりやすく、血液の流れが悪くなります。

高齢者に熱中症が多いのも、皮膚感覚が鈍くなって水分補給を怠ってしまうためです。

血管が弱くなる、運動不足などの原因でも血液はドロドロになりやすいので高齢者の下肢静脈瘤が多いんですね。

下肢静脈瘤は年齢がかなり高くても治る?

病院

若い人に瘤ができた場合は、美容のために早い段階で治療を受けることが多いです。

しかし年齢を重ねてできた場合は、どちらかというと「手術を受けるのは美容面を気にしているようで恥ずかしい」と感じる人がいるようですね。

たしかに治療を受ければ見た目の問題も解決しますが、実は下半身のうっ滞による怠さやむくみの症状も改善してきます。

美容面で良くないというよりも、下半身に負担がかかっている病気なので早い段階で治療するのが望ましいのですね。

また不快感がなくなることで以前よりも歩く機会も増えて、運動不足が解消して体調が良くなることにもつながります。

高齢患者には術後の痛みや負担が少ない高周波による治療がおこなわれ、日常生活に支障が出ないような方法なのです。

便利な治療方法も選べる時代になったので、病院で医師に相談してみると良いでしょう。

まとめ

下肢静脈瘤は年齢を重ねるほどできやすいのか、老化とともに悪化しやすい理由についてご紹介してきました。

瘤ができやすいリスクの高いタイプは高年齢の他に女性や遺伝、肥満などが挙げられます。

高齢になると血管がもろくなって運動不足になりやすいなど、血液がドロドロになり血行不良を招きやすいのです。

そこで足に血液が溜まり、瘤になってしまうんですね。

若い世代では美容の観点から早期治療を始める傾向にありますが、高齢者はうっ滞の症状が強いのでそこまで治療をしないことも多いのです。

美容目的で手術をしたがらない傾向にあるため治療が遅れがちですが、下半身には思ったよりも負担がかかっています。

最近では、様々なクリニックでも下肢静脈瘤の治療や診断を簡単に受けることが出来ます。

高周波など負担の少ない治療があるので、ぜひ早めに治して不快感を少しでも減らしたいですね。